2021/6/23 「ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり 塩野七生 新潮社」

2021年6月23日水曜日

ギリシャ 塩野七生 新潮社 歴史

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ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

今度はアテネの話、アテネはいろいろな人物が出てきてその時々に合わせて改革がおこなわれた。

紀元前6世紀ごろのソロンの改革からスタートする。それまでのアテネは貴族が牛耳っている都市だった。市民には投票権はあったが政治家にはなれなかった。ソロンが改革を出来たのは貴族階級の出身者だったからだが、家はあまり裕福ではなかったようで若いころは海外で商売をしている。帰国したのは40歳をすぎてからだった。

当時のアテネは貴族と平民の抗争が激化していたらしい。危機感が共通認識となっていたようだ。体制側からの改革だが、まず行ったのは『借金が返せなくても奴隷にならない』という法律をつくった。その後行なったのは通貨切り下げ、お金の価値を調整して今ある借金を事実上減らした。古代から民心を安心させなければ安定した社会は築けないのだなぁ。

通貨切り下げで他国の商人がアテネにきてビジネスをするという副産物まであった。こんな古代から人間というのは利益に敏感だったようだ。ソロンがアテネの開国路線を開いた、アテネがギリシャの中心になる道を作ったと指摘している。

その3年後こんどはアテネ市民の階級を分けを変更する。出身や家柄に関係なく、資産の多寡で4つに分けた。これは担当する兵種を決めるためだったらしい、アテネ市民の税金は兵役だった。資産が多い人が騎兵になり中間層が重装歩兵となる。いちばん資産が少ない階層が軽装歩兵となるということで負担が出来る階層がいちばん物入りな騎兵となった。

これを成した後ソロンも自主的に亡命する。自分が殺されて改革を反故にされたくなかったらしい。10年経ったら帰国すると宣言して出て行き、10年後に帰ってきた。

この改革で生まれや家柄では政治に参加できないことになったわけだから開かれた国になる1歩を踏み出したということになると思う。しかし、金を持っている奴が牛耳る世界になったという訳だ。政治も金持ち階級から内閣が選ばれる。あまり平等という感じはしないがそれでも前進はしている。

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