
『それぞれの国づくり 』ということで、まずスパルタの話からはじまる。紀元前8世紀の話ということだが、よくまぁそんな古いことが記録で残っているものだ。他の国であれば神話でしか残っていない事項だろう。
リクルゴスというスパルタ人がおこなった改革について書かれている。著者は『改革』というより『憲法』ではないかと指摘する。スパルタ人はこの後、営々とこの『憲法』を守っていく。
スパルタの社会構造は『スパルタ人』『ペリオイコイ』『ヘロット』とわかれていて、市民権があるのは『スパルタ人』のみ。『ペリオイコイ』は商業と手工業、『ヘロット』は農奴という構成。それぞれ1対7対16という割合だったらしい。1人のスパルタ人を養うのに23人必要だったということだ。いくらスパルタ人でも23対1では覆されてしまいそうなものだが、そうはならないのが不思議である。居住区域を分けて、スパルタ人の都市の外側にヘロットを住まわせ、ペリオイコイは少し離れた町に住んでいたらしい。ヘロットは監視対象であり仮想敵であったということらしい。分断統治ということがこのころからあったということか。
統治者のスパルタ人の生活について事細かに決められており、現代から見ると非人間的な決め事が多々ある。7歳で親元から引き離されて集団生活とか、宿舎とかなくてテントの中の地べたに直接とか。大人になる為の『通過儀礼』としてヘロットの首をとってくるという話がいちばん強烈だった。これは教育の効果としか言いようがないだろう、しかしここまでいろいろ我慢してまで統治者の立場を維持しなければならないものか。なんか本末転倒を起こしているような気がする。
もう一つは『エフォロス』という監視官の制度が大きい。制度が守られているか監督するのが仕事。任期が1年で定員が5名、市民集会で選出される。選出の仕方は投票だったのだろうか?それとも抽選?この秘密警察のような組織がだんだん力を持つようになっていく。トップは毎年入れ替わるとしても組織はどうだったのだろうか?
リクルゴスは制度を作ったが、デルフォイの神託を受けたという形をとったらしい。そうでなければこんな非人間的な制度が実施され得ないだろう。そして制度を作った後、この制度を変更しないように民衆と約束をしてスパルタを去ったという。リクルゴスが去ったことでこの『憲法』は『宗教』になったという。
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