2022/1/13 ケインズ『一般理論』を読む  宇沢 弘文 岩波現代文庫

2022年1月14日金曜日

ケインズ 宇沢 弘文 岩波現代文庫 経済学 資本主義

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第三講の続き。企業と家計という風に分けることで、それぞれお金をどう使うかをモデル化した説明がつづく。特に企業の投資と『期待』という概念をあわせて説明されている。『古典派』がいかにトンデモかということは相変わらずである。

有効需要であるとか、消費性向とか方程式を使っての説明の後、貧困の中のパラドックスという話になる。社会が豊かになれば消費が落ち着いて企業が利潤を上げにくくなるので、企業の投資も減り労働者は首になるという現象が起きるという。 『現代資本主義に内在する欠陥がいっそう露わとなり、悪質なものとなってくる』『貧しい社会では、人々は生産物のずっと大きな部分を消費する傾向をもち、完全雇用を維持することができる』なんだか今の日本政府の政策をみていると、意図的に貧しくしようとしているように見える。この為なのかと疑いたくなる。

ケインズの想定している世界では、物質的に豊かになると、人々に物が行き渡り売れなくなる。売れなくなると工場生産が縮小して、新たな売れるものを作る為に生産設備を変えなければならない。労働者もあらたな技能を身につけたりする必要がある。いずれにせよすぐには変更出来ない、現実的な感じがする。こういうことが大不況の原因のひとつだったのだろうか?ちょうど今日「もう買いたいものがない」という記事があった。1930年代もそういうことがあったのだろうか。

リカードは『総需要関数』とか『有効需要』とかを無視した経済学を作り上げそこから『古典派』『新古典派』とつながっている。同時代でリカードに反対したのはマルサスだったらしいが、うまく反論できず無視された形になっている。マルサスはホントに不遇だよなぁ。ここからケインズの言葉を長く引用している。『厳格で、ときとして受け入れ難いような結論を導きだしたこともまた、リカード経済学の美徳と考えられた』『社会的な不公平と一見して残酷さとが社会の進歩の過程において不可避の事であり、これらを改革しようというのは逆に害毒をもたらすという考え方はリカード経済学に権威をあたえた』なんだか読んでいて惑星の軌道が真円であることにこだわり続けたケプラーを思い出した。ただこの考え方のせいで、どれだけの人々が影響を受けてきたのかと思うとやりきれないような気持になる。

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