2021/11/12 未来への大分岐 マルクス・ガブリエル マイケル・ハート ポール・メイスン 斎藤幸平・編 集英社新書

2021年11月13日土曜日

マルクス・ガブリエル 斎藤幸平 資本主義 集英社新書

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選挙の時に自民党や公明党が「野党は政策が不一致」とか言っていたけど、自民と公明だってどういうもんかというツッコミもあり、結局自分の仲間以外は排除というポピュリズムですかと思って見ていました。以前どこかでマルクス・ガブリエル氏が「ドイツは先の戦争で一つの党に権力を持たせると危険だからたくさん党が出来て連立政権であることが多い」という話をしていたの思い出し、この本を読み返してみようと思った。とりあえずマルクス・ガブリエル氏と斎藤幸平氏の対談の部分を読んでいく。

 導入部は「相対主義」について議論している。『世界のどこでも通用する、普遍的な意義のある概念なんてものは存在しない』という立場で、アメリカの民主党支持者とトランプ支持者の例を挙げている。このあたりは前に読んだ『善と悪の経済学』とも通じる内容だ。倫理をおろそかにしてきたツケが顕在化してきている。『自明なもの』を認め、エビデンスに基づくものを普遍的価値として規範にしていく必要がある。ドイツでも相対主義でホロコーストを否定する人が出てきているが、ホロコーストを否定する表現は違法だという。ちゃんと歴史を総括していると思う。SNSも相対主義の温床のようになっている。『カリフォルニアの技術オタクたちだけにSNSの運営をさせていてはだめ』と話している。相対主義は人権の概念も崩してしまう。他の集団は容易に非人間化され、差別や排除の対象となってしまう。

こうなった原因としては「ポストモダニズム」に問題があったとしている。ポストモダンの脱構築により近代の暗部を暴くことに成功はしたが、『それぞれに異なる、多様な特殊性だけ』が残されてしまった。ここでニーチェとハイデガーを批判している。1968年のパリの運動がうまくいかなかったのはニーチェをベースにしていたとか、ハイデガーの『黒ノート』のことを挙げている。ニーチェってちょっと前にはやってなかった?ポストモダンが壊しっぱなしでまとめるものが何もなかったということらしい。後半は新実在論の話となる。

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