アルキビアデスが率いるアテネ海軍は連戦連勝する。このことで5000人政権が崩壊する。民主派のアルキビアデスの活躍を見て、再度アテネは民主政を選ぶ。寡頭政は12か月しかもたなかった。アルキビアデスにかけられていた嫌疑も無効とする議決がなされ、アテネ軍の総司令官に任命される。
この頃のアテネ市民について描写がある。アテネ市民はすさんでいたようだ。文化人も多数が嫌気がさし他国に移っている。これはアルキビアデスの支持基盤がうつろいやすいという事を示しているのだと思う。アテネ市民の劣化が、どのような政体を選んでも失政につながるという事態となって表れているのだと思う。
アルキビアデスは軍団を率いてエーゲ海の東方に向かう。だが、ペルシャとスパルタの状況が変わっていた。ペルシャは王弟がアナトリアの総督となっていた。その王弟がスパルタに対して本腰を入れるように圧力をかける。スパルタはまたもや非正規軍を送り出すという方法をとる。スパルタという国も実に不思議だ。正規軍が出て行くとあまり芳しくないのに、非正規軍が出て行くと必ずアテネが痛い目に合う。戦士の一人ひとりは強くても、戦争では戦術、戦略が必要となる為、かえって正規のスパルタ人では頭が固くて戦争にならないのかもしれない。ここまでしてリクルゴスの法をかたくなに守っている意味があるのだろうか?
スパルタが送り出した非正規軍のリーダーはリサンドロスという。今までの非正規軍のリーダー以上に素性がわからない人物らしい、『農奴あがり』とする説もあるようだ。この人物がペルシャの王弟と組んでアテネ軍を超える海軍の建設に取り掛かる。ペルシャからの資金を潤沢に使いアナトリア地方のギリシャ都市から人材を引き抜く。アテネ海軍からも優秀な船乗りを引き抜いてしまう。『ギリシャ民族の精神は、この面でも劣化しつつあったのだ』と書かれている。民主政から寡頭制に変わった時に公務員の給料が全廃されたり、いろいろと変化があった。不安定な賃金ではこういうことも起きるだろう。仕方ないのではないかとも思うが、今戦っている敵側に着くというのは良心の呵責がなかったのだろうかとも思う。
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