新年の最初の読書は、昨年新品で手に入れることが出来たこの本を読んでいきます。蔦屋書店でたまたま検索してみたら店内在庫があると表示されて、いそいそと棚を探したが見つからず、店員さんに声をかけて探してもらったら引き出しの中に入っていた。あきらめなくてよかった。ネットで探して取り扱いがなかったので、古本を探すしかないと思っていた。
昨年から経済学関係の本を手に取ることが多かった。ケインズの『雇用、利子および貨幣の一般理論』は読みたいと思いながらも難しいという事だったので敬遠していた。YouTubeで安冨歩氏が宇沢弘文氏の解説がとても分かりやすいという話をしていたので、それを読んでみようと思うようになった。
はしがきの部分に宇沢弘文氏自身も、学生のころはじめてケインズの『一般理論』を読んだ時は難解で挫折したと書かれている。この本は岩波書店の市民セミナーで講義をしたものをベースにしているらしい。わかりやすいというのはそれもあるのかもしれない。
第一講は『なぜ『一般理論』を読むのか』と題されている。読み始めてみると、経済学者もこの難解な本を読まなくなっていて、ジョン・ヒックスとローレンス・クラインという人物の解釈をもとにしていたらしい。この人たちのことを『アメリカ・ケイジアン』と呼ぶようだ。この解釈がケインズの理論を正確にとらえていないという事の様で、ケインズを再読する必要があるという事になるようだ。
さらに、ケインズの本自体にも問題があるようで、まずケンブリッジには口伝のような形で直接教えを受けないとわからない部分があるという。ケインズの弟子の言葉が印象的と紹介されている。『自分は昨年(1978年)初めて『一般理論』を読み通したが、『一般理論』の書き方はまったくひどい。一体何を言い、何を伝えようとしているのか私にはまったく理解できない』これはえらいことだ。
あきらかな矛盾点もあるという。何点か列挙されているが、ここまでくるとなぜこの本が重要なのかよくわからなくなってくる。
難解なうえにケインズ派とされる人も反ケインス派とされるひとも見当違いの理解をしているという。いやはやこれはたいへんな本だ。
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