5話目以降はキャルビン博士が登場する。それまでのドタバタ感ではなくより深刻な感じになってくる。キャルビン博士の人物造形もけして愉快な人物という感じではないので読後感もあまりよくない。
5話は人間の思考を読み取れるロボットが出てくる。ここで銀河帝国シリーズにつながるロボットが登場という事になるが、悲劇的な結末となる。人間に服従することを刻み付けられたロボットが人間の思考を読むことができるというのはどういうもんだろうか?人間が神様の考えていることがわかるというような感じだろうか?ここでもロボット三原則の第二条が足かせになり悲劇となる。近視眼的な嘘で傷つけないように気を配ったが、ホントの事を話した方が建設的だよねという内容。キャルビン博士はこの時の心傷が強かったんだろうなぁ。
6話は禁断の三原則に手を付けてしまったという話。第一条の条文をすこし緩めた為にロボットがいう事を聞かなくなる。いらいらした人間が『消えてなくなれ』と声をかけてしまったことで、第一条を緩めたロボットが他のロボットに紛れてしまい見分けがつかなくなる。この中でもロボット排斥運動が盛んで、地上ではロボットを運用できずにいる。そんな中で三原則を変更したロボットがまぎれているなどという事になると、ロボットの存在自体が否定されかねない。3話と同じようにロボットが人間に対して優越感を持ちながら、人間には逆らえず、かといって素直にいう事を聞くのも拒否する。
7話では新技術の開発にともなう話。ついに人類は恒星間移動のいわゆるワープ技術を手に入れるが、その開発はロボットが担っていた。ただし、時空間移動の際に人間が死を垣間見る瞬間があるので、開発しているロボットは人間を守る為に開発が出来ない。ただし、キャルビン博士のロボットは感情回路を持っているので、コンクリフトを回避できた。アシモフが感情というものをどのようにとられていたかが垣間見える感じがした。それにしても開発をロボットがするようになると人間はどんどんバカになっていくのではないか。
ロボットがだんだん優秀になってくる。人間を凌駕する能力を獲得しながら、人間を守り、人間に服従するように義務付けられているというロボットの存在。感情や個性を持たされているので苦悩するロボットも出てくる。人間を凌駕する存在を人間が描くというのはアシモフの腕の見せ所だろう、けれども人間が作ったものは人間を超えられないという感じも今のところはある。6話と7話は2029年の出来事とされている。できれば自分が生きている間にロボットと会話ができる世の中にならないものかと思う。
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