知らず知らずのうちに艦隊の指揮をさせられ、異星人バガーの星を壊滅させてしまったエンダーは騙されたショックで閉じこもってしまう。軍ではバガーの思考に共感できる人物でなければ艦隊の指揮は出来ないと考えていたが、バガーに共感できる人物はバガーを殲滅させることはできないだろうとも考えていた。そこで、ゲームという仕立てにして艦隊を指揮させたのだった『知っていたらきみにはやれなかったはずだ。そしてきみが知っていながらやれるような人物だったら、バガーをじゅうぶんには理解できなかったんだ』
戦争が終わったとたんに地球では戦争がはじまりそうな状態になっている。ロシアとアメリカが対立していた。惑星エロスのコマンドスクールにもアメリカ出身者とロシア出身者がおり、基地内で対立していた。エンダーは自室に閉じこもりひたすら眠っている。途中点滴が必要なほど眠りの中にいた。
エンダーが眠っている間に地球での内戦は終わり、<ロック提案>が受け入れられた。ロックというのはエンダーの兄のピーターのアカウントだ。ピーターは望んでいた通りうまいことやったわけだ。しかし、ピーターも権力の座に就いたとたんに妹のヴァレンタインに逆転される。ピーターはヴァレンタインに弱みを握られ、公表しないかわりにエンダーには手を出さないという約束をさせられる。
地球ではバガーのいた惑星にむけて植民船が送り出されることになる。エンダーは戦争を終結させた英雄という事になり、地球に帰ることが危険な状態となっていた。いくら苦労してきたとはいえ、なんといっても12才なのだ、政治的に利用されることを防ぐためにコマンドスクールにとどめられていた。
ヴァレンタインの計らいでエンダーは植民船に乗り込み、バガーの惑星に移住することになった。いまや提督の地位を与えられ得ていたエンダーは、新しい植民星の総督となる。すべてヴァレンタインが『デモステネス』のアカウントを使ってとりはかった。エンダーは自分が殲滅してしまったバガーについて深く理解したいという希望を持つようになっていた。
植民星に着いてから平和裏に歳月が過ぎ、ある日その惑星の上にバガーの遺跡を発見する。それはエンダーが最後の戦争の時に悪夢で見ていた情景がそのまま再現されていた。眠れなくなったのはバガーがメッセージを送ってきていた為だったのだ。遺跡のなかでバガーの女王の蛹を発見する。そこからバガーの思考がエンダーの中に流れ込んできた。バガーと地球の理解のすれ違いや女王の悲しみや諦めに似た感情を理解した。
エンダーは女王の蛹を受け取り、女王から聞いた話を本にまとめ、ひっそりと出版する。地球人のあいだにその本が影響を与え、やがて宗教となる。エンダーとヴァレンタインは再び宇宙船に乗り込み旅に出る。女王が無事に成長できる世界を探して・・・
読了。なるほど、すごい作品だった。海外では16冊もその後の話がシリーズとして出ているらしい。1985年が『エンダーのゲーム』だったわけだからなぁ、日本では翻訳が出ているのだろうか。今読んでもまったく古くなっていない、おもしろかった。
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