グラッフ大佐は実際のところかなりエンダーには愛情を感じているのではないかと思う。章の初めに書かれている軍の高官の会話の中でかつてグラッフ大佐も指揮官の候補者の一人として訓練を受けていたと思われる描写がある。たぶん何人もの候補者が選ばれて訓練を受けていたのだろうが、候補者として最後まで残っているのはエンダーのみのような描写もあった。
小惑星エロスという星にコマンドスクールは存在しているがトップシークレットのようで、一般にはバガーに焼き払われた基地があった場所とされている。エンダーの授業はほとんど個人授業でグラッフとは毎日会っているが、他に知り合いはできなかった。娯楽として提供されているシュミレータ―で艦隊の運用をゲームすることが実は一番の訓練となっていることに気付く『学びの中心はゲームなのだ』一年目が終わるころゲームをクリアしてしまった。勉強が全てゲームになればいいのにねぇ。
グラッフにゲームの難易度が上がらないと伝えると、翌日エンダーの元に一人の男が現れる。メイザー・ラッカムだった、彼の登場シーンがいかにもという感じ。ラッカムは唯一バガーの艦隊を打ち破った人物だ。あらたな指揮官にラッカムの知識を伝授する為、軍はラッカムを宇宙船にのせて送り出し、50年後に帰ってくるようにした。ラッカムにとっては八年間だったが、相対性理論のおかげで地球では50年が過ぎていた。
ラッカムの考えによるとバガーは全体で一個の有機体のように行動し、思考は全体に一瞬で伝わる。その中心に女王のバガーがおり、女王を倒すとバガー全体が行動不能となってしまう。この説は科学者には信じてもらえなかったが、軍は事実として受け止めた。ラッカムと過去の戦争のヴィデオを見てバガーの艦隊の動きからエンダーにも女王の艦がどれなのかわかった『これで、このヴィデオを見た者のなかで、それがわかるのはやっとふたりになったわけだ』なるほどこれは指揮官には簡単になれないわけだ。
地球側の武器も進化している。分子分離装置という分子が結合できない場のようなものを作り出すという。原子にまで分解してしまい、反応が終わると再結合がおこりすべて土になってしまうらしい『放射能も、ぐちゃぐちゃもなし』とんでもない武器だ。モレキュラー・デタッチメント・デヴァイスでMDデヴァイス。ドクターデヴァイスと呼ばれているらしい。反応を継続させるためにバガーが密集しているところに使う必要がある。バガーは一度使った戦術は学習してしまうのでチャンスは一度きりだ。このあたりが勝利条件ということか。
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