エンダーとグラッフは小さな宇宙船で三カ月かけて司令官訓練学校へ向かう。はじめてエンダーはグラッフとゆっくり話す時間がとれた。エンダーは異星人のバガーについての知見を得る。バガーは昆虫のような生物から進化した生命体であること、遺伝物質まで同じで地球上で昆虫が進化したらこんな感じかもしれないというくらい似ている。異なるのは音を媒介にしたコミュニケーションをしていないこと、テレパシーのような方法で意思疎通をしている。なんとなくこのあたりは、アシモフのファウンデーションシリーズに出てくるガイアのようなイメージかと思ったが、もっと蟻とか蜂のような群体生命体という感じのようだ。人類は先のバガーとの戦争でその技術を手に入れ『その半分は誰も理解していない』ながらも時空間を無視した通信を実用化している。
そして、バガーの本星の場所も突き止められており、バガーが侵略してくるのではなく、人類がバガーの星を攻めようとしているという実情も知る。その距離から実は30年以上前に出船した宇宙船が今まさにその本星に到達しようとしているらしい。『われわれに欠けているのは、戦闘を指揮する者』それがエンダーであるということらしい。人類は二度とバガーに攻められないように殲滅するつもりらしい。
その間バガーとコミュニケーションをとろうと努力もされたが、まったく通じ合えなかった。バガーはテレパシーのような方法でコミュニケーションをとっていると推測できても、人類にはテレパシーを受信する能力はない。逆にバガーからすると音声も文字も持たない、多分概念すらないので人類の発信するメッセージは届かない。こういう可能性はあるよなぁ、なんか電波望遠鏡で毎夜メッセージを探している方々には申し訳ないが。お互いに知的生命体であるということを理解できないが、知的生命体なのだろうという推測が成り立つ場合、殲滅を行うことに大義はあるのか?エンダーは疑問を持ち始める。 これはイルカは知的生命だから食べるなみたいな話だな。もし、イルカが知的で且つ人間を襲う生き物だったら、はたして保護しようという事になるだろうか?このあたりで物語の深みが増している。
一度戦争をしてしまうとなかなか相互理解というのは難しいのかもしれない。同じ人類同士でもいまだに国連では敵国条項が有効であるということをこの前知って、ちょっとショックだったことを思い出した。ある国にとっては日本はバガーなのかもしれない。
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