エンダーはバトル・スクールを卒業し、司令官訓練基地(コマンド・スクール)に送り込まれる。エンダーの隊にいた小隊長たちはそれぞれ自分の隊を持たされてエンダーのドラゴン隊はほぼ解体された。本来ならばコマンド・スクールには十六歳にならないと入れないものらしいが、六年も飛び級して配属されたことになる。コマンド・スクールに移動するためにいったん地球に戻ることになる。
そのころエンダーの兄弟たちは匿名のアカウントを使い一定の言論勢力を作っていた。ヴァレンタインが「デモステネス」ピーターが「ロック」というアカウントで活動していた。デモステネスはギリシャの政治家で、ロックは社会契約論のジョン・ロックからとっているのだろう。デモステネスの方は過激な発言で人目を引くように計算し、ロックの方は穏健な意見の人物に作り上げていった。兄弟の性格とは反対の性格の人物を演じることで、ヴァレンタインとピーターの関係も変わってくる。デモステネスの方が支持され、大統領の評議会に参加するようになる。ピーターにとっては不本意な展開だったようだが、共感力はヴァレンタインのほうが上ということなのだろう。
地球に戻ったエンダーだが次の一歩を踏み出すのを拒否している。グラッフはふたたびヴァレンタインに助けを求める。このエンダーとヴァレンタインの再開のシーンはだいぶ紙数を使い描かれている。エンダーは何もかも信じられなくなっているが、バガーの心理を理解しなければ、闘う事が出来ないだろうという予感を感じている。理解した相手を倒さなければならないことに嫌悪感があるのだろう。自分にはそれが出来てしまうこともわかっていて、その事が自身に対する憎悪となっている。ヴァレンタインにはうまく伝わらなかったようだが、エンダーは訓練に戻ることを承諾する。このあたりのエンダーの境地はかなりのものだと思う。
再びグラッフとともにシャトルに乗り込み、最重要機密となっているコマンド・スクールにむかう。コマンド・スクールは小型の宇宙船でないと入港できないので3カ月間グラッフと共に旅をすることになる。
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