ユダヤ思想の次はギリシャの思想が取り上げられる。ギリシャといえばソクラテスかと思いきや、ヘシオドスから始まる。ヘシオドスって誰?という感じだが、紀元前700年ころの詩人らしい。プロメテウスの神話をあつかった詩から希少性の概念が読み取れるという。労働と利子についても書いているようだが、プラトンのところで取り上げられるようだ。
続いてタレスが取り上げられる。タレスについての逸話は商売も上手だったということから、哲学の方が経済的な事より上位に位置づけられていたとしている。『これは今日とは正反対である』と書かれている。
さらにピタゴラスにうつる。あらゆるものを数でとらえられるとした数学的神秘主義は商業の知恵から生まれたという事を確認している。プラトンはピタゴラス学派の調和した世界というイメージを継承し洗練させたとしている。
世界は絶えず変化している。これをどうとらえるかは古代からいろいろなアプローチがあったらしい。ヘラクレイトスは『調和は相反と不調和から生まれ、運動の中で実現する』としているが、パルメニデスは『理性による抽象的な思考』こそ世界の心理をとらえられるとしている。ピタゴラス→パルメニデス→ソクラテス→プラトンというような系譜がキリスト教を通じて現代にまでつながっているということか。自分の感覚としてはヘラクレイトスの方がしっくりくるのだが。
いよいよソクラテスかと思いきやクセノポン?、世界初の経済学者だとしている。プラトンと同時代のアテネにいた人物らしい。『政府の財源』という本を書いているらしい。この頃のアテネという事は、覇権的な時代が過ぎて一都市国家になっていた時代か。先に『ギリシア人の物語Ⅱ』を読んでおいてよかった。税収を増やす方法として貿易を拡大することや、外国人を呼び込むためにどうすればよいか、使用価値と交換価値、分業の重要性まで書かれているらしい。分析には限界があるという見識も卓見である。『彼が取り上げた範囲は、ある意味でアダム・スミスよりも広く、多くの意味で深かったと言ってよかろう』絶賛している。ちょっとクセノポンの本を読んでみたくなった。
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