2021/9/8 民主主義 文部省著作教科書 文部省 角川ソフィア文庫

2021年9月8日水曜日

角川ソフィア文庫 政治 文部省 民主主義

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民主主義

太平洋戦争終結後、文部省が中学高校生向けに作った本らしい。本の帯に「天を仰いで嘆息した」と内田樹氏が書いてあるのを見て買ってみようと思った。読み終えてみると全く古くなっていないというか、むしろこの精神を忘れてしまっていることが問題なのだと思った。民主主義とは単なる制度ではなく、『社会の全般にゆきわたってゆくべき人間の共同生活の根本の在り方』と書かれている。なんか大きく出たなぁと思って読んでいると、戦争に負けたあと日本人がどうしていったらよいのかという切実な気持ちが伝わってくる。終戦時に中高生だった人たちはこれを読んでいたんだなぁ、ちょうど父がその位の齢なので今度聞いてみよう。

第一章は『民主主義の本質』として民主主義とはどういうことなのかという事を説明している。それまでが帝国憲法だった訳だから、民衆に権威があるということがどういうことなのか説明しないといけない。今読むと当たり前のような事ばかりだが、『何が国民のための政治であるかを自分で判断できないようでは』専制政治に乗っ取られてしまうと書かれている。このあたりは上級国民が出現している世の中で読むと身につまされる。改革だのなんだのと言われてよくなると思っていたのに、このていたらくだ。この上級国民を本当に貴族にしないように気を付けなければならないと思う。だから、以前どこかで聞いた話だが、タクシーにのったエライ先生がドライバーさんに「自分たちが政治のことなんか考えなくてもよい社会にしてくださいよ」というような事を言われ「その通りだと思った」というような話をしていたが、それではダメなのだ。

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