2021/9/10 民主主義 文部省著作教科書 文部省 角川ソフィア文庫

2021年9月10日金曜日

角川ソフィア文庫 政治 文部省 民主主義

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民主主義の理念は政治だけではなく、生活のあらゆる面に及ぶという話がかなり強調されている。実際の生活の中にも民主主義的にしていかなければならない点が当時の日本にはたくさんあったのだろう。基本的な考え方が民主主義的でなければ、制度ばかり整えても運用はままならない。そのあたりのことがあらゆる面について細かく書かれている。

特に労働者の権利についてはかなり念入りに書かれていると感じた。敗戦までの日本人の労働環境ってどんな感じだったんだろう?労働組合なんてなかっただろうから資本家の言いなりだったんだろうな。だから組合を作り資本家と対等に交渉していかなければならないということが力説されている。現在の労働者も自分の能力を資本にして経営者と契約して働くという考え方は、対等な関係になるわけがないという指摘がこの頃からされており、明らかに状況は民主的な面でいうと後退している。

また組合についても皆が参加して意見しなければ、一部の人に牛耳られ結局独裁的な運営となってしまう。団体が民意を反映しているとは言えなくなるという危惧が書かれているが、危惧の通りになっているように思う。なんで労働者が組合から離れていくのかというと新規の加入者に対する対応の問題ではないかと思う。古くからいる人たちの立場を守ろうとする姿勢がはなれていく原因ではないか?と自分の経験も交えて思えてしまう。たとえば運営する側の人は一定期間で入れ替わるようなやり方でないと私物化されてしまう。

どうも民主主義的に働くというのはすごく面倒な感じがしてきた。しかし、それ以外の方法では意見を言うことすらできないわけだから、チャーチルが言った「民主主義は最悪の政治形態といわれてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば」という事の意味がよく分かる。その為には全員が民主主義を理解して運営していくことが重要。手を抜いていると簡単に専制的な運営になってしまう危険があるやり方なんだと思う。

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