2021/8/9 「ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊 塩野七生 新潮社」

2021年8月9日月曜日

ギリシャ 塩野七生 新潮社 歴史

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ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊

アテネとスパルタは『ペロポネソス戦役』に突入していく。アテネのペリクレスは戦争を回避したかったし、スパルタ内にも慎重派がいた。当初は慎重派のほうが優勢だったようだが、いろいろな事件が起こるたびに戦争派の方が優勢になっていく。コリントの行動が火に油を注ぐ形になっているが、著者もこの不可思議な戦争が始まる叙述で『辺境で起こった事変の波紋が中央に向かってくる』と書いている。ペリクレスにとって冷静さをうしなった民衆が戦争への道を歩まざる得なくしている、民主政という形態では民衆に決定権がある。この本を読んでいる時にずっと思ってきたのだが、ペリクレスは弁論術で民衆を説得して自分の政策を実行してきた。説得された民衆が賛成することで民主政という呈になっているが、時宜にあった政策を展開する人物がいなければ民主政は機能しないのか?そして、ペリクレスですら説得できない状況では戦争に突入するしかないのか?

『海に足場がある国と陸に立つ国が、どうやって対戦できたのか?』著者曰く、対戦できなかったらしい。この戦争が27年もかかってしまうのはその為だった。そして、結局のところ関係した国はすべて滅亡へと足を進めることになってしまう。

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