2021/7/24 「ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊 塩野七生 新潮社」

2021年7月24日土曜日

ギリシャ 塩野七生 新潮社 歴史

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ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊

 ペリクレス時代の前期はライバル関係のキモンを陶片追放で10年間追放している間にアテネの市民権を制限する法律をつくり(後日この法律の為に自分が困ったことになるが・・・)、公職につく市民に日給を払うという法律を作った。市民権の大盤振る舞いをしなかったのはアテネが都市国家であったから仕方ないだろう。いくら繁栄していても限界はある。このあたりは後のローマ市民権が大判振る舞いされたのとは対照的だ。ローマは異民族も取り込みながら国を大きくしていった。大きくなりすぎて帝国にしないと統治できなかった。ギリシャ人だけで民主政体を維持したいのであれば制限する方向しかないのかもしれない。

それからアテネ市の公務につくことで収入がなくなる人に日給を出すことにする。今の感覚だと給料が出てあたりまえのような気がするが、この改革が行われるまで無給だった。これは無給で働ける人しか公務員になれないということを意味している。現在のように公務員は食っていく為の仕事ではなかった。アテネ市民なら一度くらい政治にかかわるべきという認識があったらしい。現在のような仕事としての行政に携わるというのはどうなんだろうか?行政が市民と乖離しているという気がするのは仕事としてやっているからなのではないかと思ってしまう。国家公務員に至っては政治家に変わって法案とか提出している。行政者は決まった事の実行者ではないのかと思う。ペリクレスの改革は給料を出すことで低所得の市民も行政にかかわる道を開いたものだった。ちなみに人選は抽選だったらしい。

キモンの陶片追放期間が終わり帰国した後は、それぞれ得意分野ごとにすみわけをしている。

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