2021/7/18  「事件! 哲学とは何か スラヴォイ・ジジェク 河出書房新社」

2021年7月18日日曜日

ジジェク 河出書房新社 哲学

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『支線5・3 〈想像界〉ー三つの飛沫』ラカンの用語で想像界というものについて、最初の例ではイメージの付加のようなことらしい。昭和の世代的に思い浮かぶのはクシコス・ポストと運動会とか。プラトンからドゥルーズの転倒で、実体と感覚という話があり、感覚は実体を持たず、存在しないが持続するというのが事件的としている。

ストア派のはなしから仏教の話へ、仏教では実体があるものが脱実体化されているという。そこから俳句の話へ、俳句では絶対的な〈空無〉と瞬間的な表層効果が重なり合っているという。ジジェク氏は俳句まで知っているのか。

俳句から禅の話へ、現実が脱実体化されることの両義的な点について再度指摘される。この辺りは以前の章でも指摘があった。悟りの境地では人間が脱主体化されて、ある行為をしている者は行為をしている自身を俯瞰的に見ているような状態となるらしい。『実際に人を殺すのは彼ではなく剣それ自身である』この言い方だと剣が擬人化されているように感じるがそれでいいのだろうか?

ブラジルの秘密警察の話やポルポトの話を引き、アウシュビッツまで例に出して同じような思考停止がおきていることを指摘している。ジジェク氏はこの、ある意味で思考停止の様になる脱主体化の危険性について危機感があるのかもしれない。

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