2021/6/30 「ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり 塩野七生 新潮社」

2021年6月30日水曜日

ギリシャ 塩野七生 新潮社 歴史

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ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

 サラミスの海戦の翌年は冬営していたペルシャ軍との闘いがあった。テミストクレスの最高司令官の任期は1年間なので、翌年は他の将軍に任せている。翌年の事を見越してペルシャ海軍の基地を攻撃することも前年のうちに決めていた。

ペルシャ軍との陸上での戦闘はギリシャ側の圧倒的勝利に終わる。この戦いの主役はスパルタ軍だった。海戦の方もギリシャ側の勝利となる、ペルシャ海軍の基地を叩いたことでエーゲ海の制海権はギリシャ人のものになる。

著者はペルシャの量対ギリシャの質の闘いであったと指摘している。『市民全員の持つ資質まで活用しての、総合的な質(クォリティ)、を意味する。つまり、集めて活用する能力、と言ってもよい。」

徹底的に叩きのめされたペルシャはその後ギリシャに手出しをしなくなる。ペルシャ王クセルクセスの晩年は内乱に悩まされ、家臣に暗殺される。

ギリシャ人全ての力を合わせた勝利であるが、テミストクレスがいなければ違った結果になっていただろう。さらに、テミストクレスはミリティアデスの轍を踏まず翌年は他の人物に任せている。才能ある人物が自己制御できるということが重要なのだと思う。

テミストクレスが行なったアテネとその外港のピレウスの一体化はペルシャ軍に占領された経験から行なわれたものだろう。スパルタからの抗議があったがはぐらかしているうちに作ってしまった。アイデアを形にするスピードが重要なのは今も昔も変わらないのだな。

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