スウェーデンに入ってもラップ地方であることは変わらないが、スウェーデンではノルウェーで出会ったような素朴なサーミの人々はいない。観光地の土産物の売り子になってしまっている。今風にいうなら資本主義に希少性を搾取されたサーミ人のような記号になってしまっている チャペックはそのような状態を嘆いている。自然も搾取され、鉄鉱石を採掘している山のイラストは真っ黒な影のようなイラストで描かれている。
しかし、それ以外の場所には原初の森が残っている。その森の中を鉄道で旅している。 チャペックは食べられるキノコが放置されているのを見つけるが、現地では食べないということで残念がっている。
森を抜けるとスウェーデンの古い町に立ち寄り歴史的な建造物を見ている。キリスト教の聖地と北欧神話に由縁がある場所など。
その後は知人の車に乗りスウェーデンを南下していく。スウェーデンの南部はイェータランドというらしい。それは『ゴート族の国』という意味らしい。スウェーデンにゴート族がいたのか?古ゴート主義という説らしい、現在では疑問視されているが真剣に信じられていた時代もあったらしい。いろいろ理由を付けて正当性を主張するようなたぐいのものである。由緒があるというのはそれなりに説得力を生むのだねぇ。
ちょうど旅の終わりの時にスペインのフランコ独裁のニュースが入ってきたらしい。きな臭い時代が再び始まる時代になっていく。
最後に北極圏を巡った船での思い出が印象的だったようだ。『ホーコン・アダルステイン号』の話で旅を終えている。この船は後に貨物船となってしまったようだ、船長から手紙をもらったエピソードが載っている。チャペックはこの旅の3年後に亡くなっている。読了。
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